でも、いきなり後ろから腕を引かれて、目の前に誰かの背中が現れた。

ゆらりと揺れる長い黒髪に、その人物が誰だか一瞬で分かってしまった。


まただ。


「ねえ、性悪女って私のこと?」

また吉野さんは私を庇う。私を守ろうとしてくれる。

って、事の原因は吉野さんの気もするが、それには触れないでおこう。


私は吉野さんの背後に隠れてしまって吉野さんの顔は見えないけれど、ただ、強くにぎられた手が大丈夫だと言ってくれていて。


「そうだったら、どうするの?」

そう言った女子たちに、吉野さんは私の手を離して一歩近付いた。