吉野さんが男子と話してても何も言わないくせに、私が話したら男好き。
理不尽すぎて笑えるレベルだが、笑うのはとりあえず我慢しておく。
「別に、好きじゃないんですけど」
立ち上がりながらボソッと呟き、パンパンとスカートの汚れを払う。
どうやらその声は前の人たちに聞こえていたようで。
「なに?言い訳する気なわけ?
さすが、性悪女と一緒にいるだけあるわ」
鼻で笑いそう言うその人を、私は思わず睨みつけた。
性悪女は多分吉野さんのこと。
吉野さんが性悪女だなんて噂だけなのに、そう言い嘲笑するイジメっ子に苛立った。
教室の前の方からはまだ私の悪口が聞こえてきた。
その中に、吉野さんを庇う言葉も混じっていて、扱いの差が身にしみる。
…地味子もいろいろ損だ。
変わりたいと思ったこともあるけど、変われる気がしないからこのままでいい。