私に後ろからそう囁いたのは、静川 梨衣菜。
私が白雪 美乃なんて、可愛らしい名前とは似つかない地味な容姿のため、目を付けられた。
静川さんはなぜか私のことをよっちゃんと呼ぶ。
多分、イジメてると気付かれないために親しげに見せてるのだろうけど。
「…持ってません」
嘘偽りのない回答をすると、静川さんはギュッと肩を強く握ってきた。
少しの痛みを我慢して下を向く。
…あぁ、放課後が怖い。
誰にも気付かれないように小さくため息をつくと、いつの間にか肩の痛みはとれていて、
「ねえ、白雪さん」
クラスの人気者が、そこに立っていた。