一歩退いた友梨さんから、吉野さんの威圧感と焦りが伺える。
というか、こんな展開になるとは思わなかった。
いつも明るくて無垢な吉野さんが、友人の悪口を聞き間違いだと言わなかったこと、目をそらさなかったこと。
驚く部分もあるし、そうハッキリ言えるところ少し尊敬する。
ここに来て吉野さんがそういう人だと知って、友達になれたらなんて思ってしまう。
そんな気持ちを押し殺して。
「それじゃあさ、友達って言わないよ。
友達じゃないのに、なんで束縛みたいに私の人間関係に制限かけてくるの」
ハッキリと、キッパリと告げられた言葉に、友梨さんもさすがに言い返せなかったのか、吉野さんと扉の隙間から逃げていった。
愚痴ならまだしも悪口を言われたから、だから“友達じゃない”なんて、そんなことなかなか面と向かって言えないのに、
吉野さんは平然と言ってみせた。
それが、少し格好いいと思った。