みひろんは飛んでいけるとか言っていたけれど、さすがに飛んでいくわけにはいかないだろう、常識的に考えて。

バスの中でたわいない会話をしながら、翔也くんのいる病院を目指す。

バスなんてほとんど乗らないから、なんだか落ち着かなかった。

そのうち病院について、真っ先に翔也くんの病室を目指した。

トントンとノックをして、返事がかえってくる前に扉を開ける。

みひろんはその私の行動に驚いていたけれど、「お邪魔します」と小さく呟いてから部屋に入った。


「あ、美乃来たのか…、と、その人は?」

コテンと首を傾げた翔也くんに、みひろんは慌てて頭を下げた。

「言ったでしょ?もしかしたら月曜日の帰りに寄りに来るかもって」

「えっと、美乃ちゃんの親友の吉野 美尋です!」

私が紹介する前に、ハキハキとした発音でみひろんが自己紹介をした。

翔也くんはみひろんをマジマジと見たあと、ふっと笑みを浮かべた。

「優しそうな人じゃん」

翔也くんの言葉に、私も笑みを浮かべた。