ふんわりと微笑んだまま、翔也くんは私の方を見てまた髪をくしゃっとした。

「心配してたんだよ、イジメのこと、知ってたから」

その言葉に、ドクリと心臓が嫌な音を立てた。

イジメのこと、バレていることは薄々気が付いていたけれど、心配してくれていたとは。

まあ、きっとバレてるだろうなくらいで、本当にバレてるとは思わなかったけれど。


「…そっか」

何も言えなくてそれだけ呟いた私に、翔也くんも「うん」とだけ言った。

秋はもう、窓の外で散りかけていた。

ひらひらと落ちる赤色黄色の落ち葉がそれを教えてくれていた。


「あー、それからね、」

私はとある人物の顔を思い浮かべて、言葉を付け足した。

翔也くんは不思議そうに私を見て、コテンと首を傾げてみせる。

「年上のね、友達ができたの」

パチリ、と翔也くんのまんまるに開いた目が私を捉えた。

「年上の?俺と同い年?」

「うん、そう」