くしゃくしゃとかき乱すようにする手をパッと掴んで、思わずムッとした。
「髪、崩れちゃうじゃん…」
と言っても大した髪型はしていないのだが、くしでといた髪がぐしゃぐしゃになってしまうのが嫌だった。
…まあ、翔也くんになら別にぐしゃぐしゃにされても怒らないけどね。
ムスッと頬を膨らませる私に、翔也くんはケラケラと笑った。
「うん、いいじゃん、俺、美乃ことすごい心配してたんだから」
心配という言葉に、ドキッと胸が鳴るのを感じた。
「心配なんて、することないじゃん」
ふいっとそっぽを向いてそう答えると、翔也くんはまあねと笑っていた。
それから、でもと言葉を濁すと、ふと窓辺を見た。
買ってきたお昼ごはんを横目に、窓の外、まだ高くなる日に眩しさを感じた。