バランスがうまくとれず落としそうになりながら、落とすならお菓子の方を落とそうと決めて歩いていると、
「あー、やっぱり無理してた」
私の部屋からひょこりと顔を出したみひろんが、ニコニコしながら声をかけてきた。
そうして私に近付くと、お菓子だけうまいこととって、
「ゆっくり来てね、食べてるから!」
なんて言って意地悪く笑い、私の部屋へと消えていく。
ムッとしたけれど、ちゃんと部屋の扉は開けててくれていて、そういう気遣いに胸が温かくなるのを感じた。
そういうちょっとした気遣いが、すごく嬉しくて頬が緩んだ。
飲み物を部屋の中央の机の、珈琲や砂糖などをみひろんの前に、サイダーを自分の前に置いた。
みひろんは宣言通り、早速お菓子を開けて食べ始めていた。
まあ、開けたのは自分で持ってきたものらしいけど。