それからみひろんは、満足したようにいつものような笑みを浮かべてみせた。
「大丈夫、今すぐにでも証拠は“作れる”よ」
優しい笑みを貼り付けながら、みひろんはくるりと回って私の目の前に立ちふさがった。
両手を広げてみせて笑うみひろんが、急に前に立ったことに驚いて自転車を止める。
「今すぐなんて、どうやって集めるの?」
誰でも思うような、そんな素朴な疑問だった。
でも、聞く前から回答は分かりきっている気がした。
みひろんはニッと自慢げに口角をあげると、
「記憶をね、コピーするの」
ジッと私を見つめて、口角は上げたままトントンと自分の頭を指差した。
予想通り、とは言えないけれど、やはり常識では考えられないようなことだった。