言葉がうまく出てこなかった。

なんて言えばいいのか分からなくて、どうやって反抗するべきなのか分からなくて。

静川さんにこんなにもムカついたことがまずなかったから、どうするべきか術を知らなくて。

ギュッと拳を握りしめて、言葉を探す。

語彙力のない自分に腹を立たせながらも、やっと出てきた言葉が、

「馬鹿に、しないでください…」

悲願するような、そんな言葉で。

言いたいことは悲しいお願い事なんかじゃないのに、悔しいと思った分罵倒する言葉が欲しかったのに。

結局、うまい言葉が思い浮かばなくて。

なら、いっそのこと静川さんを罵倒するんじゃなくて、

「翔也くんは、今も必死に頑張ってるんです」

翔也くんを庇えるような言葉を投げる。