風はいつも以上に冷たかった。

もうすっかり秋の日和だった。

つい最近までは残暑のせいで夜も暑くてなかなか寝付けなかったのに、気付けば快適な温度で風が気持ちよくて。

そんな風を感じながら病院へと向かい、ワクワクとしながら翔也くんの部屋に向かった。

トントンとノックをしてから返事も聞かずに扉を開ける。

翔也くんは私だと分かって微笑んでから、いつもとは違う私の姿に目を見開いた。

「…え、美乃…だよな?」

驚いた様子で私かと確認をする翔也くんに、私はコクコクと頷いた。

翔也くんは相変わらず驚きながら私を見回して、ニコリと微笑んだ。

「似合ってるじゃん」

優しく温かく笑いかけたその言葉が、どれほど嬉しかったか。