私は聞こえないふりをしながら、本を取り出して開いた。
それに対して静川さんが文句を言い始めた頃、
「美乃ちゃんおはよう」
聞き慣れた声がしたかと思えば、不意に後ろから抱きしめられる。
「み、みひろん、おはよう…」
突然のことに驚きながらも、誰か確認しながら挨拶をし返した。
何に対してか嬉しそうに笑ったみひろんは、次に静川さん達に目を向けた。
「何話してたの?」
雰囲気からというか、私に対する文句が聞こえていたはずなのに、
何も知らないと言わんばかりに静川さんに尋ねたみひろん。
静川さんはバレてないと思っているのか、
「え、よっちゃんの髪型似合うなっていう話」
あからさまに嫌っていますという態度で返事をした。