目をキラキラさせながら窓の外を眺める吉野さんにつられて外を見る。
確かに近い、というか山を登っているわけだから、窓のすぐ外に緑が広がっている。
少しだけ赤茶の交じる木々に覆われた山を登っていくと、何やら大きな施設が見えて。
ああ、あそこが泊まるところなんだな、と小中学生の頃の野外学習を思い出した。
まあ、その野外学習と今回の活動もあんまり変わりなんだけど。
活動だし、学習じゃないし、自然について勉強というよりは、息抜きの遊びというか。
「ねえ、あの施設かな?なんかすごい広そうだね!」
幼い子供みたいにはしゃぐ吉野さんの膝から、開けてないお菓子がポトっと落ちる。
気にしないで外を眺める吉野さんの代わりにそれを拾い上げて、
「そうだったらそろそろ着くから、お菓子片付けないと」
そう言い渡すと、そっかと言ってお菓子を片付け始めた。