「ああ、わかった。...手術って、いつ?」
「しあさって!!あ、神社なんて行かないで、ちゃんと手術室の前で祈っててね?」
「わかった。」
「神沢くん、そろそろ検査の時間だから...」
「わかった。じゃあ帰るよ。光、頑張れ。」
「うん!ありがとう!!」
病室から出たとき、光の母親に会った。
「あら、光の彼氏?」
「いや、...ただの友達です。神沢といいます。お邪魔しました。」
「また来てあげてね。」
「はい。」
光によく似た、綺麗な人だった。
次の日、僕が病院に行くと、手術室の前のイスに、光の母親が座っていた。
「え...、あの!光の手術は明後日じゃ...」
僕がそう言うと、光の母親は、
「病状が悪化しちゃって...。緊急手術なの。」
「あの、光の手術が終わるまで、一緒に待っててもいいですか?」
「もちろん。...ありがとう。」
それから5時間待ったが、光の手術はまだ終わらない。始まってから、8時間経つらしい。
光、やっぱり祈らなきゃダメか...?
そのとき、手術中のランプが消えた。
僕は立ち上がった。
中から、酸素マスクをした光が出てきた。
「手術は成功しました。すぐに、目が覚めると思います。」
医者が説明を始める。
「よかった...。」
光、よく頑張ったな...。
手術から1か月後、光は退院した。
「神沢くん!おはよう!!」
「おはよう。」
「お見舞いとか、いっぱい来てくれてありがとう!」
「どういたしまして。」
「神沢くん、神様のこと信じる気になった?」
「...やっぱり僕は、神様のことは信じない。今まで通り、無神論者であろうと思う。」
「そっかぁ...。」
「でも、光のおかげで、人と関わることの楽しさがわかったし、未来のことも考えられるようになった。...光、ありがとう。」
僕が話し終えると、光は笑いながら、
「どういたしまして!」
と言った。
「私、神沢くんのこと好きだなぁ」
「え?」
「あ、そういう意味じゃなくて、えっと...、いや、やっぱりそういう意味で!私、神沢くんのこと好きになりました。私と、お付き合いしてください!」
「僕も、光のことが好き。こちらこそ、よろしくお願いします。」
そう言うと、光は笑顔で抱きついてきた。
これからも、光と2人でこうしていられたら...。
それだけで僕は幸せだ。
神様なんていなくてたって。