暗闇で、まだ俺の姿はバレてないまま話は進む。

「まりあちゃんもお疲れさま。それに社交ダンス行かなくていいの?」

「...うん、そういう人、いないしね」

 梶、って誰だ。
 あいつ他の知り合いの男いたのか。

 机の隙間に隠れているのにも疲れてくるが、音を立てるわけにはいかない。

「...そっか。じゃあ、さ。俺なんかどう?」

「え...?」

 ―――っ...。

 ドクンと心臓が脈打つ。
 
 俺には、関係、ない。
 
「...ううん.....ごめんね」

「....そっか、分かった。まりあちゃんは他に誰か好きな人いるの?」

 全身の神経がそれに集中しているのがわかる。
 まりあは、なんて答えるんだ?

「....いないよ」

「そっか!ならまだ俺にもチャンスはあるね!」

 ....は。

「うん、だから、梶くんの、その、考えてみる」