何故俺が....。

 そう言いながらも着て外に出た。

「...これで着方合ってるか?」

 おおお!と歓声が上がる。
 カメラのフラッシュの音と、女子の黄色い声がいっきに膨れ上がった。
 
 ...なんでこんなことしてんだ俺。

「ほらよ。これみてゆっくり選べ」

 客にメニューを渡すと女子は頬を赤くしてキャーキャー騒ぐ。
 とにかくうるさい。

 早く帰りてぇ...。
 あいつのことも気がかりなのに、あー、くそ。

 店内にカランカランと鈴が響く。

「いらっしゃいませー!何名様でしょうか?」

 女性のスタッフと、もう一人の女の声が耳に入る。

「...あっえっと、一名で」

 ...まりあ....。

 何だか胸の奥が締め付けられていく。