階段を下りていくと、まりあに引き留められる。

「しおんっ!」

 なんだ、あいつあんなに必死な顔して。
 
「あ?」

 一つ下の階でまりあを見上げる。
 すごく、綺麗だった。

「しおん、私しおんにまだ傍にいてほしい!傍で一緒に笑ってたいっっ...」

 なんだよ、そんな泣きそうな顔で言うなよ。
 いつもみたいに喧嘩腰になれよ...。

「いきなりなに言い出すかと思えば...。そんなの知るか、もともと俺とお前は友達でもなんでもねぇだろうが。友達ごっこなんてくだらねぇ」

 ズキ。

 何だ、今の。

 キンッ、と毎度のことのように体がいきなり幼い子供に変わる。
 いい加減これにも慣れた。

「っ、しおんっ、待って!」

 俺は四階の窓から下に降りて、どこか一人に鳴れる場所を探した。