午後___。
「雛子、準備できたか?」
『うん!』
「じゃ、いくぞ」
蒼に連れられ合宿所を出た。
他の部員たちが驚いている声が聞こえる。
そのとき私は、森川先輩が悲しそうな目で見つめていたことに、気付いていなかった。
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『おおー!きれーい!』
思っていたよりもすごいいい景色で、蒼も意外だったみたい。
それから私たちは波打ち際をゆっくり歩いた。
蒼は楽しそうに練習試合であったことを話してるけど、森川先輩とどうなったのかな…。
海の方を見ながら歩いていたら、砂浜にずぼっとはまってよろけてしまった。
コケるっ!
って思った瞬間、包まれたのは砂の感触ではなく
蒼だった。
「ったく…よそ見なんてしてるから…。」
蒼は転びそうになった私を受け止めてくれた。
ありがとうと言おうと思って見上げたら、蒼の顔がすぐ近くにあって。
それはあと少しで唇が触れそうな距離。
それにこの体勢、傍から見たら抱き合ってるみたいだし。
やばいやばい…顔から火が出そう…!
…なくらい近いよ…!!