簡単に言えば…そのクーデターが起きた原因はそのもう一人の生き残り。
「さあ。ザラくん。
私の学長室へ案内するわ」
「……お願いします」
僕の返事と同時にグブラさんは微笑み身を翻す。
付いてこいって意味か。
とにかく……先を急がないと。
*******
「ねえ?ザラくん」
学長室へ向かう階段を上りながらグブラさんの呼び掛けに反応する。
「はい?なんでしょう」
「二年前のクーデターあったでしょ?」
「はい」
知らないわけも忘れる訳もない。あれでギラド帝国は滅んだ。
兄さんや弟、母上や父上も死んだんだ。
「あのクーデターで生き残ったのはザラくんとカロア、そしてもう一人」
もう一人……それはかつて僕と同じ特器部隊前線副隊長……
「……ラズマ・インディカスですか?」
「ええ。確かな情報はないけど。
特器部隊でラズマくんだけ行方不明なのよ」
「それは……」
確かにそうだ。
僕は生き残ったけど特器部隊前線隊は壊滅状態になり生き残りは居ないと判断され
た。
僕もそう思っていた。
けど……前線隊でラズマの消息だけが分からなくなっている。
ラズマ……君はどこに……
「そんな思い詰めないのよ。どこかで生きてるわ」
「はい」
生きてるといい。
でも……それを望んでない僕も居るんだ。