「へえ、お前って意外と強いな。

まあ、俺よりはへただけどさ。」


その言葉を背中で聞いた。


待って、この声はさ、

「はっ、橋本翔っ。」

たしかに、私の後にはあの無邪気な笑顔の小柄で、かわいらしい橋本翔がいた。

「なんだよ、そんなに驚くなって。まあ、俺もこれから試合だからさ。見とけよ?」

やはり、あの無邪気な笑顔で。

「ばーか。言われなくても見とくっつーの。あんなに下手だの言われたんだから。あんたの実力も見てやんないとねっ。」

あああ。ばか私。

私、素直じゃないな。