教科室からかなんが出てきた。

向こうは私の事をまだ気づいていない。


ここで声をかけなければ、
二年生になるまで話せない。
会えない。

でも、話す内容なんて何も無かった。
ただこっちを見て欲しかった。

振り向いて欲しかった。

だけど、一瞬の出来事だったから
気づいたら声をかけてた。

「あっ!!かなん!」

「お〜!」

「…バイバイ!!」

「バイバ〜イ♪」

このやりとりは数字にすると、
10秒も無かった。

だけど、「バイバイ」って言いながら
下で手を振ってくれたこと。

とっても嬉しかった。
心から笑えた。