そして時が過ぎ、卒業式…

俺はミキちゃんと過ごせる最後の日だと思うと、とても悲しく、辛かった。

ミキちゃんと一緒に帰るのも今日が最後だ。

今日は最後のクラス内の片付けあったので、帰るときにはもう日がおちていた。

「ごめん、ミキちゃん。待たせちゃったね。」

「ううん。全然待ってないよ。」

「じゃあ、もう遅いし帰ろっか。」

ミキちゃんはやることがなくて、俺の仕事が終わるのを待っていてくれた。

でも、そのせいで…

そのせいで…

「ミキちゃん、暗いから気を付けてね。」

いつもの曲がり角。

俺はいつもならミキちゃんが家につくまで手を振って見送ってた。

だけど今日は、病院に行く日だった。

だから、あの曲がり角で別れたあと、自分の家に一直線に走っていった。

「キャー!」

ミキちゃんの悲鳴が聞こえたのはそのときだった。

俺は、急いでミキちゃんのところまで戻った。

見ると、3人の20代ぐらいの男性に囲まれていた。

「ミキちゃーん!」

俺はおもいっきり遠くから叫んだ。

「なんだよ、コイツ。せっかく可愛いコ見つけたのによぉ!」

すると、そのうちの一人が俺の腹を蹴ってきた。

「ミキちゃんに何をする!」

俺は、小さい頃から柔道を習っていたので、
その動きで3人に必死に抵抗した。

「おぃ!ヤメロッ!離せッ!わかったから!」

そう言うと、3人はミキちゃんをおいて、逃げていった。

しばらく俺はその場に立っていることしかできなかった。

そして…

「あっ、ありがとう…」

ミキちゃんが涙をこぼし、そう言った。

「ううん。遅くまで待たせた俺が悪いんだ。俺のせいで…俺のせいで…」

「海翔くん…カッコ良かった…私のことを必死に守ってくれた海翔くん、カッコ良かったよ」

俺はドキドキした。

ミキちゃんがこんな事を俺に言ってきたのは初めてだ。