「ミ~キちゃん。おはよー♪」

俺の高校生活は毎朝この言葉から始まる。

ミキちゃんは、今日もカワイイ。

ミキちゃんとは席が隣だ。

顔を机にくっつけて、スヤスヤ寝ている。

ミキちゃんの寝ている姿はよく観察している俺も、滅多に見ることのできないレアだ。

「ミキちゃん、寝てるの~?」

寝ているミキちゃんももちろん好きだが、
俺は、早く話したくて頬っぺたをツンツンした。

「ミキちゃん起きた~?おはよー♪」

ミキちゃんは、ウトウトとしためで俺を見た。

「ごめんね、起こしちゃって。まだ眠い?」

「ううん。もう元気だよ。おはよー、新田くん。」

あ~、カワイイ!朝から気分全開だ~!

俺は、高1のときからミキちゃんと同じクラスで、そのときから観察をしている。

そのわりには、得た情報量は少ないんだけど。

分かってることと言えば、一人が好きでいつも一人でいること、
それと、移動教室がとても早いぐらいだ。

つまり、俺は観察せずに普通に過ごしている人とミキちゃんの情報は
あまり変わんない。

「ミキちゃん、今日も一緒に帰ろうね!」

「うん、一緒に帰ろう。」

俺は、毎日毎日帰りを楽しみにしていた。

初めて誘ったときは、一緒に帰れるなんて思ってもいなかったが、
一緒に帰っているときは、ミキちゃんのちょっと違った一面をみることができて嬉しいし、楽しい。

学校とは違って結構話してくれるし。

そして、ミキちゃんとの帰りは俺はデートだと思いながら帰っている。

ミキちゃんはそんな風に思ったことは一度もないと思うけど。

俺は、ミキちゃんと一緒にいられるだけで幸せだし、
同じ学校で、同じ学年、同じクラスになれたことに感謝している。

「新田ー!何でお前はいつも成瀬の方を見ている!頼むから、俺の授業を聞いてくれー!」

うゎっ、先生の怒鳴り声が聞こえた。

こうしてミキちゃんの事をずっと考えていたから授業が始まっていたことすら気付かなかった。

「授業に集中できないなら、席を離すぞ!」

「嫌ですっ!」

俺は即答した。

ミキちゃんを近くで見ていられないなんて、絶対に嫌だ。

「嫌なら、授業に集中するんだぞ!いいかっ?」

「わかりました。気を付けます!」

俺はよくこの事で注意される。

だから……

「お前はいつもこうだもんな。いつになったらやめてくれるんだ!?」

一応、毎回こうやってなんとかその場を回避する。

そう簡単にやめられるもんじゃない。

だって、俺、ミキちゃんの事が好き……

いや…大好きなんだから!