「私はどうせ顔だけだから別にいいの。」
「そうやってわざと自分は顔だけって思って攻めるのやめろ
お前はかわいいから。性格も。」
その瞬間私の頬に一筋の涙が伝った
泣いたのは何年ぶりかわからない。
ちょうど外が暗いから私が泣いてること愛斗にばれてないかな…?
「そうやって泣いてるところも全部。
全部おまえはかわいい。」
そう言って愛斗は私を抱きしめた
なんでだろう。
はじめて今日喋ったのに、もう愛斗に対してうざいと思う気持ちはなくなっていた。
「俺は見てるよ。
お前の全部」
そう言ってくれた愛斗の言葉にまた涙が頬を伝った。
「ねえ、愛斗」
「ん?」
お願いがあるんだ
私から男にこんなこと言うのはじめてだよ…?
「友達になって。」
「…いいよ
けどいつまでもそのつもりはないから
桃花の心俺が全部受け取りたいから」
愛斗の最後の言葉は聞かないふりをした。
「ありがとう…」
「お前が言う前から俺は友達のつもりだったけどな。
じゃあ行こっか。」
愛斗は私の家まで送ってくれた。
いつの間にか愛斗への敬語がなくなっていたことに気づいたのは帰ってから。
''お前が1番かわいいよ。''
このセリフが何度も頭の中でフリーズして、なかなか寝付けなかった
あの合コンから愛斗とは特に何もない
私が友達になって
って言ったから、学校に来たら挨拶する程度
今まで私に男友達なんていなかったから、挨拶を交わした時、周りのみんなはびっくりしていたけど、特に何も言われなかった
愛斗は、ぱっちり二重に薄い唇、茶色の髪の毛、少し癖っ毛の髪
とにかくイケメン部類に入る男
今までなんの興味もなかったから、気づかなかったけど、休み時間にはいろんな女の子に周りを囲まれている
みんなに好かれている愛斗がどうして私にキスしたのかわからなかったけど、多分気まぐれだったんだと思う
「桃ちゃん!
次移動教室だよ!」
いつの間にか眠ってしまっていた私に愛菜が声をかけてくれた
「ありがとう
行こっか」
「うん!
あ、あのね…」
愛菜は照れくさそうに話し始めた
「咲人と付き合うことになった」
「え。」
驚きしかなかった
あのチャラそうな咲人くんと…?
「合コンの帰り、私のこと家まで送ってくれて、それで、連絡先交換して、ちょっとずつ連絡取るようになって…」
話している愛菜はとても幸せそうだった
「それで、昨日一緒に帰ろうって言われて、帰ってる途中に付き合わない?って言われて…
それまで気づいてなかったけど、私知らないうちに咲人くんのこと好きになってたことも気づけて、付き合うことになったんだ」
そう言って笑う愛菜はとてもかわいかった
人は見かけによらないってことかな。
それから咲人くんの話を愛菜からたくさん聞いて、話聞く限り咲人くんは一途な人だなって思えた
「よかったね
おめでとう」
「ありがとう!」
「いえいえ」
愛菜と咲人くんの幸せを願った
「桃花」
数日後の放課後、愛斗が私に声をかけてきた
「ん?」
「今日の放課後暇?」
「…」
どうしよう
放課後は隣のクラスの男から呼び出されてるんだけどな
「もしかして、呼び出されてる?男に」
「あーうん。」
「じゃあ終わるまで待ってるから、終わったら教室戻ってきて」
「うん…?わかった。」
どうして待ってるのかよくわからなかったけど、私は呼びも出されてた中庭に行った
いつも通り顔目当ての男からの告白で、もちろん振って急いで教室に戻った
「ごめんね、どうしたの?」
「お願いがあるんだけど、聞いてもらってもいい?」
お願い…?
私も友達になってってお願いしたから、聞く義務があるかな?
「うん」
「今日俺の家来れる?」
「え…」
え、まさか…?
「いや、えっとそうゆうことじゃなくて、親に会って欲しいんだけど」
「は!?嫌だよ!?絶対嫌だ!」
なんでいきなり愛斗の親と会わなきゃいけないの!?
「頼む。
彼女のふりしてくれるだけでいいから
そうじゃないとお見合いさせられるんだよ」
え…!?
この歳でお見合いとかあるの?
私には次元が違う世界だ…