「…やっぱり、アンタ分からない」


あたしは、小さく呟いた。


中川は、また目を細めて笑う。


「心配しなくても、幸人はお前の事、嫌いじゃねえよ」


ヤケに自信気な顔で、小さく笑い声を漏らす。


「昨日、幸人に怒られたしな。"本田は、俺の女だ"ってな」


あたしは、その言葉に目を見開く。


「――…え?」


「お前が思ってるよりも、周りはお前を認めてくれてるよ」


家に着き、車が停止する。


中川は、ポン…とあたしの頭の上に手を乗せ、帰った。