《拓哉side》

「もしもし、拓哉君?」

「はい、もしもし?あぁ、桐条さん」

俺は、大学を卒業して春休みに入った3日目の朝、今年から俺が新任として入る高校の創立者であり、理事長である桐条勤さんから電話があった。

「あれからもう10年なんだな...。覚えてくれているか?」

「もちろんです。...それでいつお迎えに行けば?」

「うむ。その事なんだが...娘の副担任を君に受け持ってもらう事にした。それで、これが結婚ね条件なんだが、訳あって娘は3年間授業を受けていない。学校には行っているが、教室には行こうとしない。だが、今年は受験が待ち受けている。だから、娘を無事大学へ進学させたら結婚を正式に認め、養子の手続きをとろう」

「え!?俺が娘さんの副担任!?」