そこにはおじさんが座っていた。 名前も年齢も不祥の このおじさんは、いつもだいたい 同じ場所に座っている。 ギターで音楽を演奏したり アクセサリーなんかを売っていて、 僕は勝手にギターのおじさんと 呼んでいる。 おじさんが弾いている歌は いつも知らない歌で、その陽気 なのにどこかさみしいメロディが、 僕は案外好きだ。