「いや、そういうパターンではないです…」

ここで僕がメガネを外してしまったら、
僕の顔は『期待はずれ』で
二人の間に残念な空気が漂うことは避けられない。



「1回外してみてくださいよぉ〜」

それにしても、彼女のこの高い声はどこから
出ているのだろう。

「遠慮します…」

と、安東さんの手がすっ、と僕の顔に
向かって伸びてきた。

そして僕が抵抗する間もなく、僕の
メガネは安堂さんの手元に収まってしまった。


「あ…」
ヤバい。
僕は、この後訪れるであろう、気まずい沈黙に
耐えるための心の準備をした。