「お前かよっ!つーか、電気ぐらいつけて入れ!!」


聞き慣れたその声は……。


えっ!?でも、そんなの幻聴に決まってる。


おそるおそる振り向くと、鋭く光る眼球と目が合った。


「なっ、なんで…ここにいるの?」


「ヤル気しねぇし。ちょっと寝ようと思ったら爆睡しちまったんだよ」


これが何日か振りの愛しい人との会話だった。


てか、フツーに話してるそんな場合じゃないでしょっ!!


あたしが躓(つまづ)いた相手は、長い脚を放り出して座っている陸だった。


だけど、陸の目が前みたいに見れない。


それどころか、早くここを離れたいと思う自分がいた。


「そっか…。とっくに練習は終わったよ。じゃあ、あたしも…帰るから」


ヤバッ!急に目の前に黒い渦が巻きはじめる。


どういよう。このままじゃ…倒れちゃう。



「おっ…おいっ!!」