黄帝珠が、ざらざらと不快な声を轟かせた。



【絶望するか、玄武? 出会ってわずか数日の他人のココロの中で、むなしく滅ぶことを。

それとも、歓喜するか? 美女のために死するは、男の愚かなる本望であろう。

いや、怨みに溺れるか? 玄獣珠のチカラを以て怨みながら死ぬとは、これは芳しい】



さびたノコギリの刃を皮膚に押し当てられているかのように、黄帝珠の声が触れる耳や頬はピシピシと痛む。


また、部屋のどこかで、ひびが走る音がした。



【のう、玄武よ、おぬしは……】


「【黙れ、くたばりぞこない! もっと粉々に砕かれないと、反省の『は』の字も学習できないのか!】」



口から飛び出した怒声は、半分はぼく自身のものだ。


もう半分は、玄獣珠の意志と記憶だった。