「文字盤をもとに戻す方法は?」
「は、離せ、無礼なっ」
「ぼくの質問に答えろ。文字盤をもとに戻す方法はあるのか、ないのか?」
祥之助の瞳孔が、黄金色の異様な光の奥で、広がったり縮んだりした。
「あるわけがないだろう! ココロの滞在可能時間は、宿主次第だ。ボクにどうこうできるわけが……うぎゃあ」
胸倉をつかむ手を、軽く押し出しながら離した。
直感で計測した力点は正確で、効率よく力が作用して、祥之助が吹っ飛ぶ。
投げ飛ばした拍子に、懐中時計が床に落ちていた。
絶望の瞬間が目の前にある。
【少しだけ……もう少しだけ時間をください、リアさん】