ぼくは正面から祥之助をにらんだ。
「彼女に触れようとしたんですか。その小汚い手で」
「おまえはこの女の恋人でも何でもないだろう? 単なる片想い。おまえはこの女に、ボクより先に触れたいと望んでいる。ただそれだけだ」
ぼくは、暴れたくて震えるこぶしを固く握りしめた。
「ゲスな勘繰りをしたければ、勝手にどうぞ。これ以上、きみにかまってやるつもりもない。
あの時計が示すのは、この迷宮の存続時間か、ぼくたちの滞在可能時間なのか。いずれにせよ、もう時間があまりないはずだ」
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