「それで、絵は見せてもらえるんですか?」


描きかけの絵は見せたくないものなのかな。


ちょっと心配しながらお伺いを立てると、案外すんなり了承をもらえた。


それどころか。


「お前、欲がないなあ。そんなモンでいいのか? 完成してない絵だぞ。もうちょっと礼っぽいものにしろよ」


なんて、呆れられちゃった。


そっちこそ、自分の絵をそんなモン、なんて言っていいの?


「いいんです。明日のお昼時間に見に行ってもいいですか? 明日のお弁当のお礼もそれにしますから」


「や、だからそれじゃ礼にならないって」


「もう決めましたから、それ以外受け付けません。先生は創作活動に戻ってください。あたしも午後練始めますから」


さ帰った帰った、と背中を押してプールから追い出す。


ちょっとぶすくれた顔の先生を見送って、準備運動を始めた。


「明日、楽しみだな」


最後に深呼吸をして、あたしはプールに飛び込んだ。