「俺は常識人なの。それにお前、俺は一応教師なんだぞ」


「先生、自分で一応って言っちゃだめですよ」


いただきます、と食事を始める菊池。


……なめられてんのかな、俺。


でもまあ、せっかくだし、いただくとするかな。


まずは重箱の真ん中にいるから揚げから。


……うまい。


たまご焼きも、肉巻きアスパラも、どれもこれもうまい。


菊池のお袋さんは料理上手なんだな。


「いやあ、悪いな。こんなうまい弁当食わしてもらって。お母さんにお礼を言っておいてくれよ」


朝からこれだけ作るのは大変だったろうに。


母親ってすごい。


舌鼓をうっていると、菊池は何を言っているんだ、という顔をして俺を見ていた。


「どうかしたか?」


おにぎり(中身はしゃけだった)をほおばりつつ尋ねる。


「これ、あたしが作ったんですけど」