「これは、あたしと先生の分です!」


……俺の?


心の声が聞こえたのか、はたまた首を傾げたからか……。


菊池はそうです、とうなずいた。


「昨日、勘違いさせてプールに飛び込ませちゃったから、そのお詫びです」


はい、座って座って、と箸を差し出す菊池。


「タオル、サンキュな。助かった」


タオルを渡すと、きょとんとした顔で受け取る。


「これ、洗ってくれたんですか?」


「ああ、ちゃんとコインランドリーで洗った。借りたもんだし、当然だろ」


本当なら新品を返すところだけど……許せ。


実のところ……今月、財政難なんだよな。


ありがとうございます、と菊池は言った。


「先生って、意外としっかり者なんですね」


感心したように俺を見る。


おい……『意外と』ってなんだよ。