毎年、桜丘高校は文化祭の際に実行委員企画でもあるイベントや後夜祭を担当することになっている。
その中でも、今回私は後夜祭実行委員を勤めることになった。
後夜祭は、桜丘名物でもあり、盛り上がる行事の1つのため、参加者が多いくらい生徒からも先生からも支持がある。

今日は、後夜祭実行だけの集まりだ、仲のいい結梨も今回は違う分担先だ。
不安いっぱいで、教室に行ってみると


『お〜、楓ちゃんだ、おはよう』


(え……)

(嘘でしょ……)

滝沢先輩がいることへの驚きと、自分の名前を知っていることへの嬉しさが混じり、ただただ唖然としてた。

「お、おはようございます。滝沢先…」


『何だこのアホヅラは(笑)』


私のほっぺをくーっと引っ張って、言い、


『早く、席つけ。始めるよ』

フニャッと崩した笑顔は、初めて見る優しい笑顔だった。



何で、何で、私先輩と会ってお話ししたことないのに。

他の子には、やらない特別感は何んだろう。私だけ名前を呼んでくれたり、ふざけあったり、これって何?


もしかしてっと、ちょっと優越感に浸ってしまうが、そんなはずない。
だって、あの先輩だ、40人いる後夜祭実行委員の中で私のことを知ってるなんて、そんなドキドキが弾み、いよいよ文化祭の幕開けとなった。