「母上、失礼します。」
「姫巫女、入りなさい。」


中にはいると横になった母親がいた。姫巫女は枕元まで移動する。


「父上は?」
「妖怪の討伐に。姫巫女、あなたにも一つ、お願いがあるのです。」


お願い、と首を傾げる。幼い頃と変わらない仕草に、母は笑みをこぼした。


「裏山に小さな小屋があります。そこの様子を見てきて欲しいのです。」
「小屋?」
「鬼がいるという噂が立ってます。」


最後まで聞く前に姫巫女は是と答える。彼女は立ち上がると部屋を後にした。


「旭。」


部屋を出る前母が彼女を呼ぶ。


「気をつけてね。」
「はい。」


しっかりと答えると、旭は扉を閉めた。