「すいません、嫌なら1年にだけなら上の名前で呼ぶように言っておきますよ。」
「え?あー、大丈夫大丈夫!
別に呼び捨てじゃなければ良いの!」
気を利かせて言ってくれた言葉に
あたしは焦って返事をした。
その返事を聞いて龍之介くんは不思議そうな顔をして、
「そんなに嫌なんですか?」
「え、龍之介くん嫌じゃない?
特別な人以外に呼び捨てにされるの。」
「んー、特には。」
いつもの無気力な雰囲気と生気の無い眼で言われてしまった。
あー、そりゃそうだよね、
男の子でそんな風に考えてる子なんていないよね…
そう自分で言い聞かせた。
だって先程の返事は、あたしに名前を呼ばれても何とも思わない、と
言われているような気がして。
彼はそんな事を微塵にも思っても考えてすらもいないだろうが、
勝手にショックをうけているあたし。