「あのさ、高校受験とか、一人暮らしとか、色々と許してくれて、ありがと…。」


「あら、眞紘ってば急にどうしたの?」


「いや、改めて…父さんと母さんに、そう言いたくなっただけ。」


照れくささを感じながら咳払いをすると、父さんと母さんは顔を見合わせてニンマリと笑みを浮かべた。


「そりゃ、あれだけ真剣な目で訴えられればな。ダメとは言えないだろ。」


「そうよねぇ~。眞紘ってば、本当に花奏ちゃんのことが大好きなんだから!」


「……………。」


えっ…?


ドクン…と心臓が大きな音で跳ね上がる。


「ちょっと待って、俺…そんなこと一言も言ってないけど……」


確か、父さんたちには…“小学校まで住んでた場所で、気心が知れた友達と一緒に高校生活を送って、勉強を頑張りたい”みたいな話をしたはず。


花奏のことは、特に口にしなかったのに…。


瞬きを繰り返すと、母さんがクスッと笑った。