*
魔女、なんていう大層なあだ名がついたのはいつだっただろうか。
月を眺めながら、考えてみたが分からなかった。
あまりにも周りに興味が無さすぎて、気付きもしなかった。
考えるだけ無駄。
「まだ、来ないかしら」
あと少しで新月だ。
早く来てよ。早く私を壊してよ。早く早く私を殺してよ。
早く私を楽しませてちょうだい。
テーブルの上にはまだ置きっぱなしの林檎。
まだその林檎は真っ赤な紅色。
その紅色の林檎には痺れるような毒入り。
その林檎を昨日から触ってない。
理由は、きっとあの殺人鬼と会うのが楽しみになってきたから。
毒林檎を食べて死ぬのではなくて、彼によって、めちゃくちゃにされて死ぬのを望んでいるからだろう。
「白雪。君を壊しに来たよ」
美しい殺人鬼は、今日もまた私のもとにやって来てくれた。