「蓮! 一緒に食べよーぜー」
正弘くんが大きな声でそう言った。
え、蓮? あの人も一緒なの?
なんかやだー…。
そんなことを言っていても仕方ないから、私はお弁当箱を持って立ち上がる。
………さっきから女子の視線が痛い。
でもまあ、そりゃそうだよね。
百合は美人さんだけど、私みたいな平凡な顔の人と学校の王子さま二人が一緒にお昼ごはんなんて。
やばい。私浮いてない?
「美琴ー! 早くしてよ」
「あ、ごめん!」
百合に急かされ、考える間もなく私たちは屋上へ向かった。
屋上で食べようと提案したのは、あの人。
屋上は誰もいないし、天気のいい日は本当にいい場所らしい。
「ねえ、でもいいの? 屋上なんか行っちゃって」
「ん? ダメ」
は?
なにこの人。頭悪いのかな? 心配になってきた。
「だから、内緒ね」
でも、そう言ってくしゃっとした笑顔で人さし指をたてて言うその人は、
少しだけかっこよく見えた。
―ギィィ……
「わぁ……」
思わず声がもれてしまうほど、とてもいい景色だった。
「めっちゃいいねここ! 早く食べよ!」
さっそく百合がお弁当を広げ始める。