「うん……わかった」


私と正弘くんが付き合えば、誰も辛い想いなんかしない。


「ありがとう」


正弘くんみたいなかっこよくて優しい人、私には似合わないけど……。

それから三十分ぐらい海で遊んだりして過ごした。

もう、日が暮れるまで嫌なことなんか全部忘れて遊んだ。

「学校サボっちゃったね」

「まあ一日ぐらいいいだろ」

正弘くんは私の頭をわしゃわしゃと撫でてくれる。

まだお互いに好きっていう感情はなくて私にとって正弘くんは“ニセモノの彼氏”だけど、いつか好きになってしまう気がした。


――……

次の日学校に登校すると、すぐに桃羽ちゃんと咲緒ちゃんが話しかけてきた。


「美琴ちゃん昨日どうしたの!?」

「正弘くんと学校サボったって噂になってるけど!」


え!?

噂……って、まさか……!

そう気づいたときにはもう遅くて。

教室のドアのところには鬼の目をした数えきれないほどの女子たちがこっちを睨んでいた。

「雪野美琴!! こっちこい!!」

ひぃっ!?!?

まってまって私どうなっちゃうの!
しばかれるしばかれる! 誰か助けてー!泣


「美琴、おいで」


聞き覚えのある声。

それは間違いなく……私のニセモノの彼氏・正弘くんだった。

てか……『美琴』って……!


正弘くんが手招きしてるから、周りの女子に怯えながらそっと近づく。