「てか、わけわかんねえ。なんで俺がはっきりしないせいで美琴ちゃんが傷つくんだよ」


確かに、蓮くんからしてみれば変な話だ。

こんなの……私が蓮くんのこと好きって言ってるようなもんじゃん。


「それはいいから。

それより、お前は百合のことどう思ってんの?」


正弘くんのその質問に、蓮くんも百合も顔を下に向けた。


わずかに、頬が赤く染まっているような気がする。


「俺は……」


もう、心の準備はできていた。

二人が付き合うことも、予想できている。




それなのに心臓が鳴り止まないのは、なんでかな――……








「百合が好きだ」



ついに、聞いてしまった言葉。


さっきまでうつむいていた蓮くんは、もう百合しか見ていなかった。



「美琴ちゃん……」


“大丈夫?”と、目で心配してくれる正弘くん。


そうやって言ってる正弘くんこそ、目も充血して今にも泣きそうな顔をしている。


そうだよね……ずっと、好きだったんだもんね……。

それだけ、好きだったってことなんだ……。


「……じゃあ、私たちはここらへんで」


今度は、私が正弘くんの手を引いて屋上を後にした。



私が向かった先は、教室でもなく、空き教室でもない。