四人の間に、変な空気が流れている。
沈黙が続くなか、私はずっと早くどこかに行ってほしいと願っていた。
そんな沈黙を破ったのは、正弘くん。
「俺ら……なんか邪魔?
ごめん。あっち行ってくるわ。行こ、美琴ちゃん」
正弘くんはその時どういうつもりでそんなことを言ったのか、私には今でもわからない。
ただ本当に蓮くんと百合の邪魔をしたくないと思ったのか、その場にいるのが嫌だったのか、それとも……
優しい正弘くんのことだから、私を逃がそうとしてくれていたのかな……。
私もその場にいたくなかったし、正弘くんについていこうと思って一歩足を出したとき、蓮くんが正弘くんの腕をつかんだ。
「邪魔物ってどういう意味?」
「そのまんまじゃん」
にらみながら言った蓮くんに対して反抗するかのように、正弘くんは冷たい目で言い放った。
「蓮さ……いいかげんはっきりしろよ。
お前、百合のこと好きなんだろ? 変に気遣って隠されるより、はっきり言ってくれた方がいいんだよ。
じゃないと……美琴ちゃんまで傷つけてんのわかんねえの?」
いつもの正弘くんからは想像もできないほど低い声だった。
「正弘くん……もういいよ……」
このままじゃまた体育祭のときみたいなことを繰り返すと思って、私は二人を止めに入った。
「美琴ちゃんもはっきり言えば?」
いきなり強い口調で言われて、もうどうすればいいのかわからなくなる。
「だからいいって。なんも話すことないから……!」
嘘つき。
自分でも、よくここまで嘘がペラペラ言えるなと思う。
ほんとは……話したいことだらけだよ。