案の定、ついた場所は屋上。
いつもは穏やかなイメージがある正弘くんだけど、今日はなんとなく真剣な顔だった。
「俺さー、百合のこと……好きなんだよね」
……え? 正弘くんが……百合を好き?
「はじめはただの幼なじみって感じだったんだけど……なんか、ね」
でも、百合は蓮くんのことが好きなんだよね……?
「けど俺は、ずっと前から百合の気持ち知ってた。気づいてないふりしてたけど」
正弘くんは、どこか遠くを見つめながら言った。
「百合は………、いつから蓮くんのこと好きなの……?」
「たぶん、中二ぐらいからじゃないかな。百合と蓮が初めて会ったとき。
一目惚れなんだと思う」
百合の幼なじみなはずなのに、そんなこと知らなかった。
好きな人がいることさえ、教えてくれなかったのに……。
―ギィィ……
「美琴!?」
「美琴ちゃん!!」
いきなり屋上のドアが開いたと思ったら、その人は百合と蓮くんだった。
「美琴……よかった、ここにいたんだ………」
「百合………なんで……?」
そのあとの百合の話で、もう一限目が始まっていたことを知った。
それで、なぜか私が教室にいなかったから、二人でこうして探してくれてたみたい。
「って……正弘もいたのか」
突然蓮くんが口を開いたから、無意識に蓮くんの方を見た。
蓮くんと、目が合う。
その瞬間、蓮くんたちと距離を置いていたのに気づいて、とっさに目をそらしてしまった。