忘れかけてたけど正弘くんも女子に人気あるんだっけ……。

隣で桃羽ちゃんが嬉しそうに跳び跳ねている。


「好きだねぇ~桃羽ちゃん」

「え? 好きじゃないよ~」


いやいや、あからさまに好きっしょ。

あんな嬉しそうにしてたじゃん。


「何だろう……好きって言うよりは、アイドル見てる感じかな~?」


確かに、あんな女子に騒がれてる人なんて遠い存在だよね。

私は以外にそうでもないんだけど……。

「アイドルね~……」

どこがだ。全くわからん。

いつも一緒にいるからかな? もうなんか当たり前……って言うか。


不思議に思ってずっと正弘くんを見ていたら、ふと正弘くんと目があった。

正弘くんは私に気づいたとたん、手を降ってこっちに来る。


「えっなになに!? キャー!!」


うわー……すっご。めっちゃキャーキャー言われてんじゃん。


「おはよ、美琴ちゃん」


桃羽ちゃんは、顔を赤く染めて口に手をあてながらこっちをまじまじと見ている。

そんなレアなんだ……。


「おはよ、正弘くん。どうしたの?」



「ちょっと話があるんだけど。桃羽ちゃん、借りていいかな?」

「えっ!? 私の名前覚えててくれてるんだ……!
あ、どうぞ! 勝手に持ってってください!」


ちょっ……桃羽ちゃん!?!?

ひどいよぉ~!!!


――……

「話ってなに? 一限目始まっちゃうよ」