「蓮くん……だよ。ごめん……ほんとごめん!」



私は、言葉がでなかった。

覚悟は……してたけど。

私の初恋の人。

その人に好きな人がいるってこと自体私にとっては胸が押し潰されそうになるくらいだった。


でも、好きな人の好きな人は私の幼なじみで。

しかも幼なじみもその人が好きで。


なんなんだろ。……私、完全な邪魔ものじゃん。


もう、諦めた方がいいのかな。

そりゃそうだよね。


だって、自分の好きな人と幼なじみが両思いだって言うんなら……応援するほかないよね。


でも、やっぱり嫌だよ――……

「そっか」


結局私は、この一言しか言えなかった。


それからはお昼ごはんも適当ないいわけをつけて一人で食べたし、蓮くんと百合のことを自然と避けるようになっていた。


そんなある日の放課後。

「美琴ちゃん、一緒に帰らない?」


珍しく、正弘くんが私の教室に来た。

はじめの方は百合に一緒に帰ろうと言われても『用事があるから』ってひとりで帰ってたけど、さすがに百合も避けられてるってことに気づいて最近は誘われもしなくなったし。


「いいよ」


正弘くんを避ける理由もないし、私はすんなりと一緒に帰ることにした。


――……

「美琴ちゃんさ、蓮たちとなんかあった?」


やっぱり……わかるよね。

正弘くんはなにも関係ないのにすごい巻き込んじゃってるし……。


「なんかあった……っていうか、今は会いづらい……」


けっこう曖昧な言い方だったけど、正弘くんはそれ以上聞いてくることはなかった。


「ずっと前から思ってたんだけど……美琴ちゃんって蓮のこと好きなの?」