「ねえ百合……?」

「どした?」


聞くのが怖い。

もし、百合も蓮くんのことが好きだったら―。

もし、二人が付き合うことになっちゃったら―。


もう……今までみたいに四人ではいられない。



「好きな人……とか、いたりするの?」

「え?」


さっきとは全く関係のない唐突な質問に、百合は目を泳がせる。

私たちは、あまり恋ばなとかしないから。


私にも好きな人いなかったし、恋愛なんてめんどくさいって思ってたから、
今までは百合の好きな人なんか気にならなかった。



でも……いまは違うんだよ。



お願い、百合……いないよね……?

蓮くんのこと、好きなはずないよね……?


「好きな人は……、いるよ」


……え……。


……いるの? まさか……!


「蓮くん?」


違う。きっと違う。

そんな……そんなのありえないよ……。



「今は……言えないかな」


なんではぐらかすの? 

蓮くん? って聞いてはぐらかすなんて……ほぼ答えじゃん……。


「言って。ねえ、お願い百合。いいよ言って!」


口ではこんなこといっておきながら、ほんとは今すぐにでも耳を塞ぎたい。

聞きたくない。

認めたくない。


でも……私のせいで百合が自分の気持ちを押し殺さなきゃいけないんだったら……言ってほしい。


「私の好きな人は………」