『百合ー』
『聞いてるー?』
『ちょっとー! ねー!』
さっきからずっと百合にラインを送ってるんだけど……返事がこない。
既読にはなってるんだけどな……。
既読無視なんて今までで一度もなかったのに。
私、百合を怒らせるようなことした?
いや……でも、昨日だって普通に別れたし。
今日は体育祭のあとの振り替え休日だから学校は休み。
せっかく百合と遊びにいこうと思ったのに~。
そろそろテストも近いし、テスト勉強でもしよっかな。
このままいくとヤバイし。
特に数学と地理とか終わってるんだよね……。
私が勉強に取りかかってから一時間ぐらい経ったころ、ラインの通知がきた。
「百合かな? やっとかよ~おっそ!」
やっぱり、ラインは百合からだった。
『今から私の家にきて』
こ、これだけですか。
なんか……百合いつもより冷たくない?
しかも百合の家……って、久しぶりに行くうえになにやるの?
私は、不安が募るなか、支度をすませて百合の家に向かった。
――……
―ピンポーン
ここ最近百合の家にはおじゃましてなかったけど、やっぱりいつみてもおしゃれな家。
うすい茶色で統一されているそのマンションは、上を見上げるほど大きい。
そういえば……確か正弘くんも同じマンションなんだっけ……。