「ごめんね? じゃあ」
「あ……うん」
なんだったんだろう、あの人?
ポカーンとした顔で、とりあえず自分の席に戻る。
「ちょっと美琴!!」
「うわっ! びっくりした~」
急に百合が声をかけてきて、椅子から落ちそうになってしまった。
「え、なになに!?
美琴って蓮くんと仲良かったの!?」
「へ? 別に」
こんなに興奮してる百合はかなりレアかもしれない。
「じゃあさっきの何!?」
「ああ。あれはただ黒板消すの手伝ってくれただけだよ」
背が小さいことを笑われたことはあえて言わない。
だって、どうせ言ったら百合までバカにしてくるに決まってる。
「すごいね美琴……」
さっきまでは質問攻めでうるさいと思ったら、急に感心し始める。
もうさっきからなんなの百合! おかしいよ!
「わけわかんないんだけど。何が?」
「は? え、ちょっと待ってww
美琴まさか、蓮くん知らないの?」
蓮くん……って、さっきの人でしょ?
「なにそれ。知ってるよ? まあさっき話すまでは知らなかったけど」
「もーありえない! 蓮くんって他校にもファンがいるほど人気なんだよ?
ほら、いっつも女子に囲まれてる人いたじゃん!」
なんか……言われてみれば、いたような………いなかったような。
入学してからまだ間もないのに、そんな周りの人見れる余裕なかったよ!
「てか、そうだとしてもさっきは周りに女子いなかったじゃん」
そんな人気者ならさっき二人で話せたことが不自然だ。